赤ちゃんの死因の上位に位置する「誤嚥」。
実は私の兄も小さい頃に誤嚥の体験があります。
家族に月齢に合わない飴を食べさせられたことで誤嚥を起こし、窒息死しそうになったことがあり、
母親が必死に飴を取り出そうとして、ようやく吐き出して助かったそうです。
誤嚥した際の対処方法を知っているのと知らないのでは、いざという時に大きく差がでます。
今回は窒息を引き起こしてしまう可能性もある怖い「誤嚥」について、
注意すべきことや対処方法などをご紹介します。
「誤嚥」ってなに?
「誤嚥(ごえん)」とは、食べ物などが何らかの理由によって、
食道ではなく喉頭や気管に入ってしまうことを言います。
誤嚥すると、食べ物が通常入ってはいけない気管に入ってしまうので、
気管を塞いでしまい、窒息してしまう危険性があります。
誤嚥による窒息死のケースは年々増加している傾向にあります。
多くは高齢者ですが、赤ちゃんやこどもも誤嚥の事故が多く発生しており、
死亡事故の死因別では「食べ物の誤嚥による窒息」は、
毎年上位に位置しているほど、起こる確率が多い事故にあげられています。
赤ちゃんやこどもにとって誤嚥は、喉頭や気管を詰まらせてしまうことで、
リスクの高い事故を引き起こす可能性があります。
- 誤嚥と似ている「誤飲」は、食べ物以外の異物を誤って飲み込んでしまうことをいいます。
誤飲しやすいものとしては、おもちゃやタバコ、ボタンなど小さなものです。
誤嚥が起こる原因とは
誤嚥が起こる原因は2つあります。
- こどもが口に入れてしまう
-
こどもは生後5~6ヶ月頃から、手に掴んだものを口に持っていくようになります。
成長の過程ではとても重要で自然な行動なのですが、
体が小さいのでのどが狭く、吐き出したり力も弱いため、
誤嚥や窒息を起こしやすい状態にあります。特に6~20㎜ほどの大きさはこどもの口に入る大きさで、
なお且つのどに詰まらせやすい大きさでもあります。
飴玉やこんにゃくゼリー、ピーナッツなどの食べ物は注意するようにしましょう。 - 離乳食などで食べさせてしまう
-
誤嚥は食べ物をそのまま飲み込んでしまうことで起きます。
月齢に合わない食べ物の硬さや大きさのものを食べさせてしまうと、
誤嚥による事故も起きやすくなっています。まだ食べ物を小さくかみ砕くのが得意ではない赤ちゃんには、
食べ物を細かくしたりペーストにしたりなど、
適した食べ物の状態にしてから与えるようにしましょう。
誤嚥しやすい食べ物一覧
「誤嚥による窒息死の原因となった食品」には、以下のものがあります。
- パン(ホットドッグ、菓子パン)
- お菓子(マシュマロ、ゼリー、団子)
- 果物(りんご、ぶどうなどの大きな塊状のもの)
- 肉(唐揚げ、焼き肉)
- その他(お餅、お寿司、チーズ、そうめんなど)
特にゼリーやピーナッツなどは噛まずに飲み込めてしまうので、
誤って気道に入りやすく、窒息に繋がってしまうため注意が必要です。
ピーナッツなどの豆類は小さく気管に入りやすい大きさで、
更にはアレルギーなどもあるため、3歳ころまでは食べさせないほうがほうが安心です。
こんにゃくゼリーの死亡事故も記憶に新しく注意が必要です。
赤ちゃんが誤嚥したときの症状を知っておこう
誤嚥は気道に食べ物が入ってしまうので、呼吸に問題が起こります。
自然と咳がでるので、咳き込むことで食べ物が外にでることもありますが、
詰まってしまうと声が出せなくなってしまいます。
誤嚥が疑われるサインは下記になります。
- 喉のあたりを手でかきむしるような動作をする
- 声を出せない
- いびきのような音を出す
- 呼吸が弱く、顔色が悪い
重症化すると顔が真っ青になったり、意識がなくなったりすることもあります。
このようなサインが見られた場合は、適切に応急処置をし救急車を呼ぶなど、
素早く対処するようにしましょう。
誤嚥の予防に必要なこと
誤嚥による窒息事故を防ぐためには、大きく2つあります。
「誤嚥しやすい食べ物を口にさせないこと」と「誤嚥しやすい状況を作らないこと」です。
この2つの具体的な内容をご紹介します。
- 食事中に眠くなってないか注意する
- 食べ物を口に入れたまましゃべらせない
- 食事中に驚かせない
- 食事中に遊んだり、歩き回ったり、寝転んだりしない
- 口の中の食べ物がなくなってから次の食べ物を食べさせる
- お茶や水などを定期的に飲ませて喉を湿らせた状態で食べさせる
- 食べ物を食べやすい大きさに切って与える
- よく噛んで小さくしてから飲み込む習慣をつくる
もし誤嚥してしまったときの応急処置
食べ物を誤嚥してしまい、声が出せないような状態の場合は、
迷わずにまずは119番に通報して救急車を呼びましょう。
もし意識がなくて呼吸もしていない場合には、心肺蘇生が必要になります。
ご紹介する胸部圧迫方法と、可能であれば人工呼吸を繰り返して行い、
泣き出すか、救急隊が来るまで続けるようにしましょう。
意識があるときは以下の方法で詰まったものを吐き出させましょう。
◎背部叩打法
- 1歳未満の乳児の場合
-
- 大人の片方の腕の上に胸に手を当ててうつ伏せの状態でのせる。
- 頭を低くした状態で支えながら、背中の真ん中を手のひらで連続して叩く。
(比較的強めに叩く)
- 幼児の場合
-
- 大人が立膝をした上に胸があたるようにうつ伏せの状態で乗せる。
- 頭を低くして、腿でみぞおちを圧迫しながら背中の真ん中を連続して叩く。
(このとき、お腹の臓器を傷つけないように力を加減する。)
ハイムリッヒ法(胸部突き上げ法)
年長以降の子供の場合は、胸部を突き上げて行うハイムリッヒ法で応急処置をします。
- 後ろから大人が子供を抱きかかえるように両腕を回す。
- みぞおちの下で片方の手首を握る。
- もう片方の手首を拳にして、お腹を上部に圧迫する。
誤嚥は未然に防ぐことができる
赤ちゃんは大人に比べると体も小さく、食べ物を食べる力も未熟です。
そのため、食事やお菓子を食べるときに誤嚥する可能性があることを知り、
赤ちゃんの様子を見ながら食べさせてあげてくださいね。
何かを食べているときは、常に注意を払うようにしましょう。
こうした誤嚥について知っておくだけでも、事故を未然に事故を防ぐことができますよ!
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