なぜ人は、つい「最悪の結末」を先に想定してしまうのか
まだ何も起きていないのに、
頭の中では、もう失敗している。
断られたあと。
嫌われたあと。
取り返しがつかなくなったあと。
気づくと、
一番つらい未来を、
いちばんリアルに想像してしまっている。
これは弱さでしょうか。
性格でしょうか。
それとも、考えすぎでしょうか。
多くの人は、ここで自分を責め始めます。
最悪を想定する人ほど、慎重で真面目
最初に、誤解をひとつ外しておきます。
最悪を想定してしまう人は、
楽観的すぎる人よりも、
周囲をよく見ています。
空気を読む。
相手の反応を想像する。
失敗したときの影響を考える。
これは、無責任とは真逆の姿勢です。
だからこそ、
「考えすぎだよ」と言われるほど、
内側では必死にバランスを取っています。
問題は、
その想像が止まらなくなることです。
脳は「安心」より「回避」を優先する
人の脳は、
安心するために動いているようで、
実はそうではありません。
最優先されているのは、
避けることです。
危険を避ける。
損失を避ける。
恥を避ける。
拒絶を避ける。
そのために、
「一番痛い可能性」を先に映し出します。
つまり、
最悪を想定してしまうのは、
あなたが弱いからではありません。
守ろうとしているのです。
自分を。
関係を。
これまで積み上げてきたものを。
想定は、やがて「前提」に変わる
ここから、少し厄介な話になります。
最悪を何度も想定していると、
それは「可能性」ではなく、
前提に変わっていきます。
どうせ失敗する。
きっと嫌われる。
うまくいくはずがない。
そう思いながら行動すると、
人は無意識にブレーキをかけます。
言葉が慎重になる。
距離を取りすぎる。
期待しないふりをする。
結果として、
関係は浅くなり、
チャンスは通り過ぎていきます。
そして後から、こう思う。
「ほら、やっぱり」
この瞬間、
最悪の予想は「的中した記憶」として、
強化されます。
それでも、人は最悪を手放せない
ここまで読んで、
「じゃあ考えなければいいのか」と思ったかもしれません。
でも、それはできません。
なぜなら、
最悪を想定することには、
小さな安心が含まれているからです。
心のどこかで、
「覚悟ができた気になる」
「準備している気がする」
最悪を想定している間、
人は動かなくて済みます。
傷つく可能性を、
未来に押し出すことができる。
だからこそ、
この癖は簡単には消えません。
消そうとすると、
かえって不安が強くなることもあります。
もしここまで読んで、
「分かるけど、苦しい」と感じたなら、
無理に続きを読む必要はありません。
このシリーズは、
今すぐ楽になるためのものではありません。
ただ、
なぜそうなっているのかを、
一緒に見ていくだけです。
先に進むかどうかは、
あなたが決めてください。

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