MENU

理解しているつもりが、一番危ない

「分かってるよ」

この言葉ほど、
善意と危険性を同時に含んだ言葉はありません。

言った本人は、支えているつもりです。
寄り添っているつもりです。
安心させているつもりです。

けれど、関係が静かに壊れ始める瞬間を振り返ると、
この言葉が置かれた直後だった、というケースは驚くほど多い。

この文章は、
「理解すること」そのものを否定するものではありません。

ただ一つ、線を引きます。

理解は、扱い方を誤ると“支配”に変わる。


目次

「分かってるよ」が圧になる瞬間

人は、本当に理解されたと感じた時、
言葉が増えます。

逆に、理解されていない、
あるいは“決めつけられた”と感じた時、
言葉は減っていきます。

「分かってるよ」と言われた直後、
相手の反応が薄くなった経験はありませんか。

それは安心ではなく、
回収です。

相手はこう感じています。

・これ以上説明しても意味がない
・もう答えは決められている
・訂正する余地がない

「分かってるよ」は、
会話を終わらせる言葉でもあります。

相手の言葉が短くなるサイン

理解が圧に変わった時、
相手には分かりやすい変化が現れます。

  • 返事が「うん」「そうだね」だけになる
  • 感情語が減る
  • 話題を深めなくなる

これは納得ではありません。
諦めです。

ここでさらに「分かってる」を重ねると、
関係は一気に閉じていきます。


心理知識は、武器になりやすい

心理学や愛着理論、共依存、トラウマ。

これらは、本来、
人を守るための知識です。

しかし、関係の中では、
非常に簡単に“武器”へと変質します。

なぜなら、
理解した側が、構造上、強い立場に立ててしまうからです。

ラベル貼り/診断ごっこ

次の言葉に、心当たりはありませんか。

  • それは不安型だからだよ
  • 回避の典型だね
  • トラウマ反応だと思う

これらは説明の形をしていますが、
実際には定義です。

定義された瞬間、
相手は「語る側」から「説明される側」に移動します。

そこに対等性はありません。

心理知識がある人ほど、
無自覚に、相手の人生を“理解済みフォルダ”に入れてしまいます。

そして、最も危険なのは、
それが善意で行われている点です。


理解よりも優先すべきもの

ここで問いを置きます。

理解と、安全。
どちらが先に必要でしょうか。

多くの人は、理解だと思っています。

でも、実際には逆です。

安全がない場所では、
どんな理解も“管理”に変わります。

安全とは、
正解を出さなくてもいい状態。
説明しなくても許される状態。

そして、
選択を取り戻せる状態です。

相手の選択を返す

理解が支配に変わらないための、
最もシンプルな基準があります。

選択を相手に返しているか。

・どうするかは相手が決める
・今話さなくてもいい
・分からないままでもいい

これらを本気で許せているか。

理解したい気持ちより、
相手が選べる状態を優先できた時、
初めて関係は壊れなくなります。


自分の理解が間違っている前提

ここで、少し厳しい前提を置きます。

あなたの理解は、たぶん間違っています。

これは否定ではありません。
人間である以上、当然の前提です。

相手の内面は、
本人ですら完全には把握できていません。

そこに第三者が、
正確な理解を持てると考える方が不自然です。

だからこそ、
理解は常に「仮説」である必要があります。

“分からなさ”を置く技術

成熟した関係では、
「分からない」が許されています。

・正確には分からない
・まだ整理できていないと思う
・今は決めつけないでおく

これらは逃げではありません。

安全の表明です。

分からなさを置ける人は、
相手を管理しません。

語らずとも、
そこに居ていい余白を残します。

このシリーズが扱っているのは、
正しい理解ではありません。

壊さないための距離。
支配しないための態度。

もし今、
「自分は分かっている側だ」と感じているなら、
それ自体が、立ち止まるサインかもしれません。

理解は、静かに扱わなければならない。

その感覚だけを残して、
次に進むか、ここで止まるかを選んでください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次