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体験談 ― 第1話|常識を盾に、理不尽に責められる構造

この話は、
声を荒げた人の話ではありません。

怒鳴られたわけでも、
殴られたわけでもない。

むしろ、
とても落ち着いた口調で、
「正しいこと」を言われ続けた話です。

だからこそ、
何が起きていたのか分からなかった。

でも、
確かに心は削られていった。

この感覚に、
名前をつけます。


目次

H2|常識という武器

「常識的に考えて」という構文

「常識的に考えて、それはおかしいよね」

この言葉は、
内容以前に構造を持っています。

構文として見ると、
こうなっています。

  • 常識的に考えて
     反論するなら、あなたは非常識側
  • おかしいよね
    → すでに結論は出ている

つまりこの一文は、
対話の入り口ではなく、結論の宣告です。

ここが重要です。
この言葉を使う人が、
必ずしも意地悪なわけではありません。

むしろ多くの場合、
本人はこう思っています。

  • 正しいことを言っている
  • 感情的になっていない
  • 冷静に話している

だからこそ、
この言葉は便利なのです。

相手を殴らずに、
立場を一瞬で奪える。

感情を語らずに、
自分を正しい側に置ける。


Mkunの体験

私が実際に経験したのは、
まさにこの構文でした。

何か問題が起きるたびに、
必ずこう始まります。

「常識的に考えてさ…」

その瞬間、
私はもう説明する側に立たされていました。

  • なぜそうしたのか
  • どういう意図だったのか
  • どれだけ疲れていたか

それらを話す前に、
前提が確定している。

「常識から外れているのは、あなた」

この位置に立たされた状態で、
どんな説明が成立するでしょうか。


評価と言葉

感情が消え、評価だけが飛んでくる瞬間

ここで起きていたのは、
感情のやり取りではありません。

評価の投下です。

  • それは思いやりがない
  • ちゃんとしていない
  • 配慮が足りない

これらはすべて、
行為の背景を見ない言葉です。

私の中では、
確かにこういうものがありました。

  • その日までの疲労
  • 無理をしていた事情
  • 相手を傷つけないための判断

でも、
それらは一切扱われません。

なぜなら、
評価は「今この瞬間」しか見ないからです。


何が消えたのか

この構造の中で、
静かに消えていくものがあります。

  • 意図
  • 文脈
  • 状況
  • 人としての揺らぎ

代わりに残るのは、
「正しかったか/間違っていたか」だけ。

私は、
悪者にされたかったわけではありません。

ただ、
人として扱われたかった。

でも評価だけが続く関係では、
人は「対象」になります。

修正すべき存在。

指導される側。

説明責任を負う側。

ここで、
対等性は失われています。


なぜ反論できなかったのか

後からなら、
いくらでも言えます。

「それは常識の押し付けだ」
「あなたも同じことをしている」

でも、その場では無理でした。

なぜなら、
反論=非常識の証明
になってしまうからです。

  • 言い返せば、逆ギレ
  • 感情を出せば、未熟
  • 黙れば、認めたことになる

この三択の中で、
人は徐々に黙ります。

そして、
「分かってもらえない自分」が
内側に溜まっていく。

ここで終われば、
まだ良い方でした。

黙る私に対して、
相手の不安や恐れが刺激され、

「やっぱり、あなたは見捨てる側なんだ」
という解釈が生まれてしまう。

この時点で、
話し合いの目的は
すれ違いの修復ではなく、

“自分が傷ついた理由を確定させること”
へと静かにすり替わっていきます。

そして結果的に、
誰も望んでいなかった形で、
関係は少しずつ悪化していきました。


これは何の問題なのか

はっきりさせておきます。

これは、
「常識」が悪い話ではありません。

問題なのは、
常識が感情を扱わない道具として
使われたことです。

  • 安心したい
  • 不安を減らしたい
  • 自分が正しい位置にいたい

その欲求が、
「常識」という言葉を借りて
相手を追い詰めていく。

それが、
ここで起きていた構造です。


ここまでの整理

この段階で、
読者が持ってほしい理解はひとつだけです。

  • あなたが感じた苦しさは
    👉 説明できないものではなかった
  • ただ、
    👉 名前がなかっただけ

次の記事では、
この「正しさ」が
なぜ一方にだけ適用されるのかを扱います。


次回予告

次は、
「あなたが言ったよね?」
という言葉が、
なぜ関係を壊していくのかを見ていきます。

正しさが、
どのようにして
武器として完成していくのか。

そこを、
さらに深く解剖します。

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