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体験談 ― 最終話|終わらせないという選択

ここまで読んだあなたは、
すでに何かを「理解」しているはずです。

ただし、
それが何なのかを、
言葉にする必要はありません。

この最終話は、
答えを渡すためのものではなく、
答えを持ち帰らせないために書かれています。

終わらせる。
離れる。
決断する。

それらを否定するわけでも、
肯定するわけでもありません。

ただ、
それだけが「正解」だと思わされること自体に、
一度、立ち止まるための話です。


目次

終わらせることだけが、答えではない

人は、
曖昧な状態に耐えるのが苦手です。

だから、
白か黒か、
正しいか間違っているか、
続けるか終わらせるか。

どちらかに決めたがります。

決めてしまえば、
一時的には楽になるからです。

白黒をつけることの暴力性

「もう無理なら、別れればいい」
「それでも一緒にいるのは、依存だ」
「自分を大事にするなら、離れるべきだ」

これらの言葉は、
一見すると正論に見えます。

しかし、
それを向けられた人の内側では、
別のことが起きています。

「まだ何も終わっていない」
「簡単に切り捨てられるものじゃない」
「これは善悪の話じゃない」

その感覚ごと、
否定されてしまう。

白黒をつけるという行為は、
ときに人の時間や感情を切断する暴力になります。

終わらせることが、
正しさとして振る舞い始めた瞬間、
そこにはもう、
その人自身の選択は残っていません。

正しさが人を壊す瞬間

正しい選択をしようとするほど、
自分の感覚が切り捨てられていきます。

「まだ好きだ」
「完全に嫌いになれない」
「それでも情が残っている」

それらはすべて、
正しさの前では、
弱さや未熟として扱われる。

しかし、
それを無視して出した決断は、
必ずどこかで歪みを残します。

このシリーズが、
終わらせる勇気を称えない理由は、
ここにあります。


関係を抱えたまま生きるということ

終わらせないという選択は、
楽な道ではありません。

むしろ、
決めない分、
ずっと重たい。

選ばなかった選択肢の重さ

終わらせなかったということは、
同時に、
終わらせる未来を
手放さなかったということです。

それは、
いつでも戻れる可能性を残すという意味でもあり、
同時に、
いつまでも決着がつかないという意味でもある。

この重さを、
誰かに代わってもらうことはできません。

だからこそ、
この選択は、
評価されにくい。

逃げていないとも、
立ち向かっているとも、
言われない。

ただ、
抱え続けているだけ。

何も決めないという決断

何も決めない、という状態は、
無責任に見えるかもしれません。

しかし実際には、
最も主体的な状態であることもあります。

誰の正しさにも寄りかからず、
誰の期待にも応えず、
ただ、自分の感覚を保ち続ける。

それは、
簡単なことではありません。

でも、
このシリーズがここで止まるのは、
この地点以上に、
踏み込むべきではないからです。


ここから先は、あなたの領域

この物語に、
続きはありません。

この物語に続きはない

なぜなら、
続きを書いた瞬間、
それは誰かの答えになるからです。

そして、
このシリーズは、
あなたの人生に答えを置くためのものではありません。

答えを出さないという余白だけを、
ここに残します。

答えを持ち帰らないでほしい

理解したつもりで、
何かを決めなくていい。

何かを変えようとしなくていい。

この文章を読んだこと自体を、
意味づけしなくていい。

ただ、
どこかに引っかかったまま、
置いていってください。

それが、
終わらせないという選択の、
唯一のかたちです。

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