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話し合っても、望む関係が違ったら?|譲れることと、譲れないことを見つめる

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夕暮れのラウンジで、望む関係の違いについて話すKaiとRina

落ち着いて話した。相手が何を大切にしているのかも、前より分かった。
それでも、「じゃあ、そうしよう」とは言えなかった。
話し合いが平行線になると、まだ伝え方が足りないのか、それとも好きな気持ちが足りないのかと、考えてしまうことがあります。

Kaiのストレッチ、第9話です。前回は、一度「いいよ」と答えたあとで苦しくなったとき、約束を見直す会話を考えました。
今回は、その続きを話しても、望む関係が重ならなかったら。写真サークルの人と、その恋人の架空の場面を、KaiとRinaがたどります。


目次

分かってもらえたのに、答えは変わらなかった

相手の答えが変わらないことに戸惑い、考え込むRina

夕方の共有ラウンジ。Rinaは、前に折りたたんだメモを開きました。下の方には「また話す日」と書いてあります。
Kaiが置いた温かいお茶の横で、紙の折り目を指で伸ばしました。

Rina(りな)

あの二人、次の週末にまた話すって決めたよね。それで、お互いの気持ちが分かったら、今度こそ決められるのかな。

Kai(カイ)

決められることもあると思う。でも、分かったあとで残る違いもありそうだね。少し、続きを考えてみようか。

週末、恋人はこう話しました。
「帰ったあと、一緒に過ごす時間を考えてくれたのは嬉しかった。でも考えてみたら、私は、惹かれている人と二人きりで会うこと自体がつらいんだと思う」
写真サークルの人は、しばらく黙ってから答えました。
「そこが苦しかったんだね。自分は、写真の話を二人でする時間も持ちたい。今のところ、その希望は変わっていないんだ」

Rina(りな)

ちゃんと聞いてくれた。でも、やめるとは言ってくれなかった。

Kai(カイ)

うん。気持ちが届いていないのと、届いたうえで同じ選択を望んでいないのは、違うね。

Rina(りな)

私だったら、もう一回説明したくなるかも。もっと寂しさが伝わったら、分かってくれる気がして。

Kai(カイ)

伝え足りないことがあるなら話したいね。ただ、相手が何を受け取ったかを聞いてみてもいいと思う。もう分かっていることを、返事が変わるまで説明し続けると、話の目的が変わってしまうから。

「私が何をつらいと思っているか、どう受け取った?」
確かめてみると、誤解が見つかることもあれば、理解していても希望が違うと分かることもあります。次に考えることは、その二つで変わります。


変えられる方法と、大切にしたい条件

Rinaの話を聞き、大切にしたい条件について穏やかに話すKai

Kaiはメモの裏に「変えられるところ」「大切にしたいところ」と書きました。Rinaは、その間に線を一本引きます。

Rina(りな)

会う時間を短くするとか、昼間にするとか。そういう工夫なら、できることがありそう。

Kai(カイ)

そうだね。でも、この恋人がつらいのは、時間の長さだけではないみたいだよ。

恋人は、「友人と出かけること全部が嫌なわけではない」と続けました。
「あなたがその人に惹かれていると聞いたから、私には、ただ写真を見る約束とは受け取れない。恋人でいるなら、その相手と二人で会うことは控えてほしい」
一方、写真サークルの人は、「気持ちが動いたからといって、その人との交流を全部やめたいわけではない」と話しました。

Rina(りな)

同じお茶の予定でも、二人が見ているものが違うんだね。

Kai(カイ)

片方は、恋人として続けたい関係の条件を話している。もう片方は、自分が続けたい交流を話している。そこを見ないまま、帰る時間だけ調整しても、納得できないかもしれない。

Rina(りな)

じゃあ、譲れないことを先にはっきりさせればいいの?

Kai(カイ)

今分かっている範囲でね。まだ自分でも分からないなら、そこは考え中でいい。強い言葉にしてから、自分も引っ込められなくなる必要はないと思う。

大切にしたい条件は、相手を従わせるための札ではありません。「この条件なら、自分はどんな関係を続けたいと思えるか」を確かめるものです。
相手にも受け入れられない条件があると分かったら、自分がどうするかまで考えることになります。


真ん中を取れば、二人とも嬉しいとは限らない

ラウンジの椅子に向かい合って座り、互いの違いを考えるKaiとRina
Rina(りな)

毎週は嫌だけど、月に一回ならどう?って、間を取るのは?

Kai(カイ)

二人ともそれなら選びたいと思うなら、一つの案だね。

Rina(りな)

でも、二人で会うこと自体がつらいなら、月に一回つらい日が来るだけか。

Kai(カイ)

そうなることもある。回数を半分にしたから、気持ちも半分ずつ収まるとは決まらないね。

写真サークルの人は、「次の展示準備を、何人かで一緒にするのはどうだろう」と提案しました。
恋人は、「それなら私は大丈夫だと思う」と答えました。けれど、もう一つ確かめたいことがありました。
「あなたも、その形を選びたい? 本当は二人で会いたいのに、私が慣れるまでのつなぎだと思っているなら、そこも聞きたい」

Rina(りな)

相手の気持ちまで聞くんだ。自分が安心できる案が出たら、すぐ決定にしたくなるけど。

Kai(カイ)

一緒に続ける約束だからね。言い出した方も、どこまでなら選べるのか話せるといい。

その人は、「展示準備はみんなと進めたい。それは自分も楽しみ。でも、その先もずっと二人では会わないと、今ここで約束はできない」と答えました。
今回の展示準備については選べる形が見つかりました。関係全体の条件については、まだ答えが出ていませんでした。

Rina(りな)

一つ決まったことと、まだ決まっていないことを、混ぜないんだね。

Kai(カイ)

うん。小さく一致したところを喜びながら、残っている違いも見ていける。


「好きならできるよね」で、答えを決めない

自分の望みを穏やかに伝えるRina

Rinaはメモの線を指でなぞりました。二人の希望を左右に書くと、どちらの言葉にも、消したくない部分がありました。

Rina(りな)

「私を好きなら、会うのをやめて」って言いたくなる人もいるよね。

Kai(カイ)

反対に、「自分を好きなら、会わせてくれるよね」と言いたくなる人もいると思う。

Rina(りな)

どっちも、好きの証明を求めてるんだ。

Kai(カイ)

相手の希望を聞く前に、してほしい答えを正解にしてしまうんだね。

恋人がいる間、惹かれている別の人と二人では会わない関係を望む人もいます。ほかの人との交流を保ちながら、恋人との関係を続けたい人もいます。
希望があることと、その希望どおりに相手が関わると約束していることは別です。今ある約束も、片方の希望だけで変更済みにはできません。

Rina(りな)

「普通はこうだよ」って、味方を連れてきたくなるのもありそう。

Kai(カイ)

でも、世間にどちらの味方が多いかで、この二人が無理なく続けられるかは決まらない。まず、自分は何を望むのかを話したいね。

Rina(りな)

「私はこの関係を望んでる。あなたはどう?」って聞くんだね。

Kai(カイ)

うん。そして、自分と違う返事が来たときにも、その返事から次を考える。


続ける、考える、関係を変える。その選択も自分のもの

夕暮れの窓辺で椅子に腰掛け、静かに考えるKai

二人は、その日に関係全体の結論を出せませんでした。写真サークルの人は、二人きりで会う次の予定を入れる前にもう一度話す、という前回の約束を続けることにしました。恋人も、その間に自分の望む関係を整理すると答えました。
これは二人とも引き受けると話した、考えるための時間です。

Rina(りな)

待っている間に、どちらかの気持ちが変わることもあるよね。

Kai(カイ)

あると思う。でも、待てば相手が変わると決めてしまうと、今の返事を見なくなる。今の希望が続いたとして、自分はこの関係を選びたいかも考えたいね。

Rina(りな)

それでも、好きだからすぐに答えは出せないかも。

Kai(カイ)

すぐ決められないことはあるよ。ただ、いつ話を戻すか、考えている間に何を約束するかは、具体的にできる。相手にも、その待ち方を選べるか聞きたい。

考えた結果、自分から条件を変えたいと思うこともあります。納得できる別の形を二人で見つけることもあります。
一方で、何度話しても、お互いが引き受けられる関係が見つからないこともあります。そのとき、恋人として続けるのは難しいと伝える選択もあります。

Rina(りな)

好きな気持ちが残っていても?

Kai(カイ)

うん。一緒にいたい気持ちと、今の条件で続けられるかは、両方確かめたい。続けられないと分かっても、楽しかった時間まで嘘にはならないよ。

別れることを持ち出して返事を変えさせるのと、考えた末に自分の選択を伝えるのは違います。
また、恋人をやめたあとに友人になるか、少し距離を置くかも、改めて考えることです。「この関係は難しいけれど、別の形なら」と望んでも、相手もそれを望むとは限りません。


今日のストレッチ|相手の返事を変えずに、自分の希望を書く

メモに自分の希望を書き出すRina

今日は、話し合いが止まっていることを一つ選び、三つの文章を作ってみます。
「私は、こんな関係や過ごし方を望んでいる」
「方法を変えられるのは、ここ」
「今の自分が引き受けられないのは、ここ」
相手を評価する言葉ではなく、自分が選べることを書きます。まだ分からないところは、分からないと残してかまいません。

Rina(りな)

恋人以外にも使えそう。友達と旅行の計画を立てていて、「一緒に行きたい。でも、この予算を超える旅行は選べない。行き先や日数は相談できる」とか。

Kai(カイ)

そうだね。友達もその予算で行きたい場所があるかもしれないし、今回は別々に行く方がいいかもしれない。希望を言えたからこそ、考えられるね。

Rina(りな)

寂しいからって、無理な予算で行く約束をしなくてもいいんだ。

Kai(カイ)

うん。相手が残念に思うことはある。それでも、自分が引き受けられるかを正直に伝えるのは大切だね。

書けたら、相手が実際に伝えていた希望も、その隣に置いてみます。「きっと本当はこう思っている」ではなく、聞いた言葉から始めます。
重なるところはどこか。違いが残るところはどこか。もう一度確かめたいことは何か。今日決めるのは、次に聞きたいこと一つだけでも十分です。

Rina(りな)

話し合いって、最後には同じ答えを出すものだと思ってた。

Kai(カイ)

一緒に選べる答えを探したいね。そのために、同じではないところも分かる必要があるんだと思う。

話し合っても望む関係が違うとき、足りないのは説明の量とは限りません。
変えられる方法を探し、自分にも相手にも大切な条件があると知る。そのうえで、二人とも選べる関係があるかを確かめる。
一致しなかった返事も、これからを考えるための大切な答えです。

Rinaはメモの線を消さず、二つの欄が見えるようにテーブルの真ん中へ置きました。

Rina(りな)

違うところを消さなくても、一緒に見ながら話せるんだね。

Kai(カイ)

うん。自分の望みも、相手の望みも、ここから考えよう。

自分で考えて選んだあとにも、寂しさや迷いが残ることがあります。それは、選択を間違えたということなのでしょうか。
次回は「自分で選んだのに、まだ迷うのはなぜ?|決断のあとに残る気持ちとの付き合い方」。選んだ自分を責めずに、その後の時間をどう過ごすか考えます。

ラウンジで互いの考えを受け止めるKaiとRina
Kai(カイ)👟
Agent
心と身体の現在地を見ながら、 大きな目標を“今日できる一歩”まで 小さくするのが得意なトレーナー。 爽やかで頼れる、お兄さんタイプ。 頑張りすぎている人には、 前へ進むより先に休むことを勧める。 無理に引っ張るのではなく、 同じ速度で隣を歩く。 行動と一緒に、 続けられるペースも差し出すタイプ。

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