明日は何があるだろう。そう考えると、仕事や家の用事、返さなければいけない連絡が浮かんできます。必要なことは覚えているのに、自分が楽しみにする時間は、いつも空いたら考えることになっている。
「自分の毎日を、少し好きになる」最終話は、明日の小さな予定のお話です。大きな目標を加える前に、今まで見つけた好きなものを、これからの一日へ置いてみます。
明日の予定に、自分の楽しみも入っている?

昼休みのテーブルで、Liaは明日の予定を確かめていました。えむくんがカップを置くと、顔を上げて少し笑います。
Lia(りあ)明日は、用事を一つ忘れないようにしていたところです



ほかには、どんな予定がある?



いつもどおりですね。やることを順番に済ませて……それで終わりです



楽しみにしていることはある?



今のところは、思いつきませんでした。余裕があったら何かしよう、とは思うんですけど
必要な予定を先に置くのは、自然なことです。ただ、余った時間だけを楽しみに使おうとすると、用事の多い日は自分の時間が後ろへ押され続けることがあります。



楽しみも、先に一つ考えておいていいんでしょうか。まだ用事が終わっていなくても



できる範囲で、置いてみてもいいと思うよ。明日を過ごすLiaの予定でもあるからね
新しい楽しみを、毎回探さなくてもいい


Liaは小さなノートをめくりました。少し傾いたカップ。その下に書いた、取っ手を描くのが面白かったという感想。別のページには、花屋の窓で見た木の実があります。



絵を描くのも、また少しやりたいです。でも、明日の昼休みは、お茶を飲みながら窓の外を見たいかもしれません



それは、今までにも好きだった時間だね



はい。新しいことをしないと、楽しみにならない気がしていました
次の楽しみを考えるとき、まだ知らないものを探し続けなくても構いません。何度も聴く曲、読み返したい本、落ち着く席。すでに自分が好きだと知っているものも、明日の予定にできます。



家に好きな紅茶があるので、一包持ってこようと思います



準備も小さくて済むね
何が好きか分からないときには、最近少し気持ちのよかった時間を思い返してみる方法もあります。すぐに浮かばなければ、今あるものから一つ選んでみる。選んだあとで、感想を確かめられます。
楽しみを、一日の中に収まる大きさへ





せっかくなら、ゆっくりしたいです。あれも読んで、これも描いて……と考えると、すぐいっぱいになりますね



明日の昼休みに、いちばんしてみたいことは何だろう



窓の近くで、持ってきたお茶を飲むことです



じゃあ、まずはそれを一つ
楽しみな予定も、数が増えれば準備や時間が必要になります。今の生活に入る大きさへ、小さくしておけます。本を読みたいなら一冊読み切る予定にせず、数ページ開く。散歩をしたいなら、帰り道の一角だけ歩く。



そのくらいなら、できる日がありそうです
時間が確保しにくいときには、すでにある休憩や移動の中で変えられることを探せます。それでも余裕がない日は、予定を追加せずに過ごして構いません。小さな楽しみを持つことまで、毎日の達成項目にする必要はありません。



明日はお茶。それ以上は、そのときの気分で決めます
一緒に過ごしたいときは、相手にも選んでもらう





えむくん、明日のお昼、少し一緒に飲みませんか?



後半なら少し座れそう。最初からはいられないけど、それでもいい?



はい。私は先に飲み始めていますね。来られそうだったら、窓の席にいます
自分の楽しみに誰かを誘うときには、その人にも都合と好みがあります。何をしたいのか、どれくらいの時間かを伝えて、返事を聞く。最初に考えていた形から、二人で少し調整することもできます。



もし予定が変わったら、分かったところで伝えるね



分かりました。私も変わりそうなら言います
楽しみにしているからこそ、会えなければ残念に感じるかもしれません。その気持ちがあっても、相手へ参加を求め続ける必要はありません。今回は一人で過ごすか、別の日にするか。返事を受け取ってから選べます。



一緒なら、おしゃべりもできる。一人なら、外を見ながら飲もうと思います。どちらも、今は楽しみです
予定を変える余地も、一緒に残しておく





でも、明日になって違うことをしたくなったら、今日の気持ちが嘘みたいですね



今日楽しみにしていたことは、本当でいいと思うよ。明日の自分に合わせて変えることもできる
予定を立てたときと、当日とでは、体力も時間も違うかもしれません。雨が降ることもあれば、急ぎの用事が入ることもあります。楽しみの予定には、変えられる余地を残しておけます。



窓の席が空いていなかったら、別の席でもいいですね



うん。明日はそのお茶を飲む気分じゃなければ、また別の日でも
予定を守ることだけを目的にすると、楽しみだったものが負担に変わることがあります。誰かとの約束なら連絡して調整し、自分だけの予定なら今の希望を確かめる。決めたあとの選択も、自分の手元に残しておきます。



前の私は、予定を守れなかった日をすぐ失敗にしていた気がします。今は、変えた理由も聞いてみたいです
明日を明るく考えられない日もあります。そんな日に、楽しみを見つけて気持ちを変えなければ、と急がなくて大丈夫です。予定を置けそうなときに置く。それくらいの余地から始められます。
今日の持ち帰り|明日に、一つだけ好きな時間を


Liaはノートの端に「明日、窓の席でお茶」と書きました。続けて、全部をきれいに埋めようとはせず、ペンをしまいます。



私の毎日、思っていたより選べるところがありました



どんなところ?



好きな味をゆっくり味わうこと。上手に描く前に、描いてみること。帰り道で少し立ち止まること。それから、今日は休もうと予定を変えることです
すべてが思いどおりになったわけではありません。人と予定が合わない日も、何も完成しなかった休日もありました。それでも、自分がどう感じたかを確かめて、次の過ごし方を選べる場面がありました。



誰かが喜んでくれる時間も好きです。その中に、私がうれしい時間も少しずつ入れていきたいです
この全5話で考えたのは、毎日を特別にするための大きな計画ではありません。自分の好みを聞き、使える時間の中で試し、合わなければ選び直す。その小さな繰り返しです。
もし今日、少し余裕があれば、明日したいことを一つだけ思い浮かべてみてください。好きな曲を聴く。窓の近くでお茶を飲む。本を数ページ開く。できる大きさで、変更する余地も一緒に残しておきます。



じゃあ、明日は時間が合ったら、お茶を飲もう



はい。私は、好きな紅茶を持ってきます
昼休みの終わりに、Liaは自分のカップを片づけました。明日の予定には、小さな楽しみが一つ。いつもの午後へ戻る足取りが、今日は少し軽く感じられました。













