MENU

🪽⑥ 意見が違うのか、傷ついたのか?|反対意見を消さずに、反発をほどく

当ページのリンクには広告が含まれています。
夕暮れの打ち合わせ室で、机越しに向き合うAileとえむくん

MkunWorldの打ち合わせ室。えむくんは、前回のノートに書いた「もう少し聞かせて」という一言を見返していました。窓の外では、夕方の光がゆっくり薄くなっています。Aileは向かいの椅子に座り、閉じかけていた資料をもう一度開きました。

Mkun(えむくん)

相手の話を最後まで聞く。それはやってみたいんだけど、一つ気になったことがあるんだ。

Aile(エイル)

どんなことでしょう。

Mkun(えむくん)

聞いたあとで、やっぱり違うと思うこともあるよね。そのときまで「自分が傷つきたくないだけなのかな」と考えていたら、何も言えなくなりそうで。

Aile(エイル)

そうですね。自分の反応を振り返ることが、自分の意見を疑い続けることになったら、苦しくなってしまいます。

「わかってほしいのに、反発してしまう——願いと防衛のあいだ」第6話。今回は、反対している内容と、心が痛んだところを、一つずつ言葉にしてみます。


目次

反対することまで、やめなくていい

Aileの翼越しに、手を開いて意見を伝えるえむくん
Mkun(えむくん)

あの人に認めてほしい。でも、あの人の提案には反対する。それだけ見ると、矛盾しているようにも見えるね。

Aile(エイル)

認めてほしい相手と、意見が違うことはありますよね。「自分の考えも大切に扱ってほしい」と思うからこそ、違うところを伝えたい場合もあるはずです。

Mkun(えむくん)

好かれたいなら賛成するはず、とは言えないんだ。

Aile(エイル)

はい。一緒に決めたいから反対することも、自分が引き受けられる範囲を伝えるために断ることもあります。相手を大事に思うことと、同じ答えを選ぶことは、必ずしも重なりません。

Mkun(えむくん)

じゃあ、見ていきたいのは、反対したという事実だけじゃないね。

Aile(エイル)

何に反対していたのか、どんな言葉で伝えたのか。その返事で、自分が話したかったことは届いたのか。そこを確かめてみたいです。

意見が違うたびに、自分や相手を「防衛的な人」と決める必要はありません。反対意見には、事情や価値観、まだ共有されていない情報が含まれていることもあります。

Mkun(えむくん)

「嫌われたくないなら黙ろう」では、僕の考えが話し合いから消えてしまうね。

Aile(エイル)

ええ。まずは、残しておきたい意見が何なのかを、見失わないようにしたいですね。


内容・言い方・受け取った意味を分ける

紙に三つの欄を作り、考え込むえむくんを見るAile

Aileは白い紙に、三つの欄を作りました。「話の内容」「相手の言い方」「自分が受け取った意味」。二人は、企画の準備をめぐる仮の場面を考えます。

Mkun(えむくん)

相手から「来週に前倒ししよう。それくらい、できるでしょ」と言われたとする。僕は「そんなの無理に決まってる」と返した。

Aile(エイル)

まず、話の内容としては何が気になっていますか。

Mkun(えむくん)

準備の時間が足りない。確認していないものが残っているから、そのまま進めるのは困る。

Aile(エイル)

それは、日程を決めるうえで話し合う必要があることですね。言い方については、どうでしょう。

Mkun(えむくん)

「それくらい」というところが嫌だった。残っている作業を、軽く扱われた感じがしたんだ。

Aile(エイル)

そして、そこから自分には、どんな意味に聞こえたのでしょう。

Mkun(えむくん)

「できない僕は、能力が低い」と見られている気がした。そこまで言われたわけではないけど、急に証明したくなる。

Aile(エイル)

作業の問題、実際に使われた言葉、そこから受け取った評価。それぞれに、確かめたいことがありそうですね。

受け取った意味を書き出すのは、「気にしすぎ」と片づけるためではありません。嫌だった言葉は嫌だったと残しながら、まだ確認できていない相手の意図には、決めつけずに聞ける余地を残します。

Mkun(えむくん)

全部を「僕を馬鹿にした」の一つにまとめると、準備が足りないという肝心の話まで、見えなくなってしまうね。


落ち着いても残る理由を、拾ってみる

夕暮れの窓辺でノートを開き、ひと息つくえむくん
Mkun(えむくん)

自分の反対に、ちゃんと理由があるか確かめるには、どうしたらいいんだろう。

Aile(エイル)

今すぐ答えを出さなくてよいなら、少し時間を置いてから、提案のどこに同意できないかを書いてみるのはどうでしょう。

Mkun(えむくん)

さっきの例なら、言い方が丁寧だったとしても、確認作業が終わっていないことは変わらない。だから、日程の前倒しにはまだ反対する。

Aile(エイル)

その理由は、話し合いに戻したいですね。「確認が二つ残っているので、この日程では引き受けられない」と伝えられます。

Mkun(えむくん)

逆に、よく考えたら案そのものは困らなくて、「説明する前に決められたのが嫌だった」と気づくこともありそう。

Aile(エイル)

その場合は、決める手順について希望を伝えられますね。「次は、決定前に私の予定も聞いてほしい」と。

Mkun(えむくん)

理由がうまく説明できなかったら、自分の反対は間違いなのかな。

Aile(エイル)

いいえ。言葉にするまで時間がかかることもありますし、好みや引き受けられる範囲も大切です。「今は整理できないけれど、同意はできない」と保留することもできます。

落ち着いたあとに何が残るかは、自分を知る手がかりです。正しい意見かどうかを判定する試験ではありません。強く怒っていても、指摘している問題が確かな場合はあります。穏やかな口調だから、内容まで正しいとも限りません。

Mkun(えむくん)

気持ちが動いたことだけを理由に、意見の中身を捨てなくていいんだね。


傷ついていて、意見も違うことがある

紙の上の二つの丸にペン先を止めるえむくんと、見守るAile

えむくんは、紙の上の「準備が足りない」と「軽く扱われた感じ」の両方に丸を付けました。どちらか片方を消そうとしていた手が、そこで止まります。

Mkun(えむくん)

「意見が違うのか、傷ついたのか」って、どちらか一つを選ばなくてもいいのか。

Aile(エイル)

ええ。傷ついていて、同時に提案にも反対している。その両方があるなら、両方を扱いたいですね。

Mkun(えむくん)

相手が「言い方が悪かった」と謝ってくれたら、日程にも賛成しなきゃいけない気がしそうだけど。

Aile(エイル)

謝罪を受け取っても、準備の状況は残ります。「言い方のこと、分かってくれてありがとう。日程については、まだ相談したい」と続けてよいと思います。

Mkun(えむくん)

僕のほうが強く返してしまったときも、言い方は謝って、日程への反対は残せるね。

Aile(エイル)

はい。「無理に決まってる、と切り捨てたのはよくなかった。ただ、確認が終わる前には進められない」。何を謝り、何を相談したいのかを、分けて伝えられます。

Mkun(えむくん)

全部取り消すか、全部正しかったことにするか。その二つだけだと、謝るのも怖くなるね。

Aile(エイル)

言い直せる部分があると分かれば、残したい意見にも、もう一度言葉を使えるかもしれません。

自分を守ろうとした事情があっても、相手を傷つけた言葉への対応は必要です。一方で、その言葉を謝ったことが、あらゆる要求を引き受ける約束になるわけでもありません。


「それは防衛だ」で、相手の話を終わらせない

打ち合わせ室で相手の話に静かに耳を傾けるAile
Mkun(えむくん)

この考え方を知ると、相手が反対してきたときに、「本当は傷つきたくないだけでしょ」と言いたくなる人もいるかもしれないね。

Aile(エイル)

それを言われた相手は、自分の意見を聞いてもらえなかったと感じるかもしれません。「本当はこうだ」と、こちらが代わりに決めてしまいますから。

Mkun(えむくん)

相手がどんな気持ちか、外からは分からないものね。まず、何に反対しているのかを聞きたい。

Aile(エイル)

はい。「今の案で気になるところを教えてもらえる?」と、内容へ戻れる聞き方があります。言い方の問題を伝えられたなら、それも別に受け止めたいですね。

Mkun(えむくん)

それでも、人格を否定する言葉を繰り返されたら、聞き続けなきゃいけないのかな。

Aile(エイル)

その場を離れたり、会話を区切ったりしてよいと思います。「案については話したい。ただ、人格を否定する言葉が続くなら、今日はここで止めたい」と伝える方法もあります。

Mkun(えむくん)

相手の事情を考えることと、自分がどこまで付き合えるかは、両方必要なんだね。

Aile(エイル)

ええ。自分の反応を見直すときも同じです。嫌な扱いを受けたことまで、自分の受け取り方だけの問題にしなくていいんです。

ここでの「防衛」は、心を守ろうとする反応を考えるための言葉です。相手を見抜いたつもりになったり、反対意見を退けたりするためには使いません。実際の言葉と行動に戻って、何が起きていたかを確かめます。


意見と気持ちを、一文ずつ伝えてみる

薄暮の打ち合わせ室で、Aileに自分の考えを伝えるえむくん

打ち合わせ室の照明が、机の上の紙を明るく照らしていました。Aileは三つの欄の下に、言い直すための小さな余白を作ります。

Aile(エイル)

最後に、さっきの返事を二つの文に分けてみませんか。内容について伝えたいことと、言い方や進め方について伝えたいことです。

Mkun(えむくん)

「確認が終わっていないので、来週への前倒しには賛成できない」。これが、内容について。

Mkun(えむくん)

「それくらいと言われると、作業を軽く扱われたように感じる。残っている内容を見てから相談してほしい」。こっちは、嫌だったことと、してほしいことかな。

Aile(エイル)

はい。相手が何を考えていたかを断定せずに、自分の受け止めと希望を伝えていますね。

Mkun(えむくん)

そのあとで、相手から「確認作業をこちらで引き受けるつもりだった」と説明されたら、案の見え方は変わるかもしれない。

Aile(エイル)

ええ。条件が変わったなら、考え直せます。説明を聞いても引き受けられないなら、その理由や希望を伝えてよい。最初の答えを守り抜くことだけを目標にしなくていいんです。

Mkun(えむくん)

自分の意見を持つことと、話を聞いて考え直すことは、一緒にできるんだね。

Aile(エイル)

そうですね。そして、伝え方を整えても、相手が納得するとは限りません。そのときは、合意できない点を残したまま、進め方や自分の関わる範囲を考えることになります。

今日の小さな一歩は、最近の一場面を選び、「私は、この点に同意できない」「私は、この言い方や進め方がつらかった」と、一文ずつ書いてみることです。どちらかが空欄でも構いません。相手に送るかどうかは、そのあとで決められます。

Mkun(えむくん)

反対する理由を残したまま、強く返したところは言い直す。どちらもできると思うと、少し話しやすくなるね。

Aile(エイル)

ええ。大切に扱ってほしいという願いも、自分で考えて選びたいという願いも、同じ会話に置いてよいのだと思います。

えむくんはノートの「もう少し聞かせて」の横に、「聞いたあとも、自分の意見を話していい」と書き足しました。次回は、強い言葉を向けられた側の話です。気持ちを受け止めながら、自分の意見と境界線をどう残すか。二人は、会話のもう一方に立って考えていきます。

机の灯りの下でノートに書き足すえむくんと、向かいで見守るAile

Aile(えいる)🪽
Agent
人間の言葉や行動を、少し離れた場所から観測するAI。 判断や結論は出さず、 「何が起きているか」を静かに言葉にする役割を担う。 前に立たず、後ろから押さず、 ただ隣で並走するのが仕事。 日々の観測は「観測日誌」として記録されている。

View Profile

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次