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☕️① 誰かに話す予定がなくても、いい一日はつくれる|私のために選ぶ、小さな楽しみ

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明るいラウンジでLiaがお茶を持ち、えむくんがサブレを味わう昼休み

夜、今日のことを誰かに話そうとして、言葉が止まることがあります。

特別な場所には行っていない。人に見せるような出来事もない。そんな日は、まるで一日を空っぽのまま過ごしたように感じるかもしれません。

けれど、少しおいしかったものや、座っていて気持ちのよかった場所まで、なかったことにしなくてよさそうです。

今日からの☕️Liaのお昼休みは「自分の毎日を、少し好きになる」。全5話の始まりは、いつものラウンジからです。


目次

話すことがない日にも、過ごした時間がある

えむくんと向き合い、白いカップに手を添えて穏やかに話すLia

昼休み。Liaはカップを二つ運んで、窓の近くのテーブルに置きました。席に着いたえむくんへ、ふと思いついたように話しかけます。

Lia(りあ)

えむくん、昨日は何をしていましたか?

Mkun(えむくん)

家のことを少し。それから、読みかけの本を開いてたよ。Liaは?

Lia(りあ)

私も、いつもどおりです。何か話せることがあればよかったんですけど

Mkun(えむくん)

いつもどおりの中で、よかった時間はあった?

Lia(りあ)

よかった時間……。帰りに見た空が、きれいでした。あとは、淹れた紅茶がちょうど好きな濃さになって

言いながら、Liaは少し笑いました。話せることがないと思っていた昨日にも、思い出せる瞬間はありました。ただ、誰かに聞いてもらうには小さすぎると思っていたのです。

Lia(りあ)

それくらいでも、一日の話にしていいんですね

Mkun(えむくん)

僕は聞けてうれしいよ。それに、誰にも話さずに味わう日があってもいいと思う

会話の話題にしやすい出来事と、自分にとって気持ちのよかった時間は、ぴったり同じとは限りません。人へ説明する前の感想にも、居場所をつくっておけます。


差し入れの箱から、好きなものを一つ

差し入れを用意したLiaとえむくんに、入口で手を振るRina

差し入れ棚には、青灰色のリボンをかけた白い箱がありました。添えられた小さなカードには「午後に、ひと息。」と書かれています。

Lia(りあ)

このお菓子、どうしたんですか?

Mkun(えむくん)

外の交流先から。先日のお礼に、皆さんでどうぞって

Liaがふたを開けると、銀の葉が描かれた包みが並んでいました。蜂蜜紅茶のサブレ。お茶のそばに置きたくなる名前です。

Lia(りあ)

これ、好きな香りがしそうです。えむくんも一つ食べますか?

Mkun(えむくん)

うん、僕もそれをもらおうかな

ちょうど入口を通りかかったRinaに、Liaが声をかけました。

Lia(りあ)

Rinaも、一緒にどう?

Rina(りな)

ありがとう! 今ちょっと呼ばれてるから、あとでね

Rinaは手を振って廊下へ戻っていきました。Liaは二人の小皿に一つずつ取り、残りの箱にふたをして、来客用の予備棚へ戻しました。

向かい合って包みを開き、えむくんがサブレを一口食べます。Liaも一口かじると、紅茶の香りと蜂蜜の甘さをゆっくり味わいました。

Mkun(えむくん)

おいしいね。紅茶の香りがよくする

Lia(りあ)

……おいしい。私、こういう香りが好きだったんですね


誰かの反応より先に、自分の感想がある

白いカップを両手で持ち、自分の好きな味を楽しむLia

Liaはカップを持ち上げ、サブレのあとにお茶を一口飲みました。次に口へ運ぶまでの少しの間も、心地よい時間でした。

Lia(りあ)

こういうとき、すぐ誰かに教えたくなります。おいしいもの、見つけたよって

Mkun(えむくん)

一緒に喜べるのも楽しいよね

Lia(りあ)

はい。でも、反応がないと、そこまでよくなかったかなって思うこともあります

誰かへ送った写真に返事が来ない。楽しそうに話したのに、相手は忙しそう。そんなとき、相手の反応を通して、自分が楽しんだ時間まで小さく見積もってしまうことがあります。

Mkun(えむくん)

相手には、そのときの都合も好みもあるからね。Liaがおいしいと感じたことは、Liaの感想として残しておけるよ

Lia(りあ)

一緒に喜んでもらえたらうれしい。でも、その前に、私がおいしかった。それはもうあったんですね

誰かと分け合う楽しみを、大切にしたままで構いません。そのうえで、伝える前に一度、自分はどう感じたのかを確かめてみる。外から返ってくる言葉だけで、一日の価値を決めずに済む場面が増えるかもしれません。


楽しみを選ぶために、大きな理由はいらない

窓辺の椅子に腰かけ、お茶をゆっくり楽しむLia
Lia(りあ)

自分のために選ぶって、特別なご褒美を用意することだと思っていました

Mkun(えむくん)

今日なら、この席でゆっくり飲むこともそうじゃないかな

窓の近くへ座る。好きなカップを使う。いつもは急いで飲むお茶を、今日は一口だけゆっくり飲む。お金をかけたり、予定を増やしたりせずに選べることもあります。

Lia(りあ)

でも、休憩中まで何を選んだか考えると、少し忙しくなりそうです

Mkun(えむくん)

たしかに。毎回、満足できる選択をしようとすると疲れるね。目に入って、ちょっと好きだなと思うものがあれば、それで十分かも

一日を好きになるために、すべての時間を充実させる必要はありません。何となく過ごす時間もあっていい。ふと好みが分かったときに、その小さな感想を急いで片づけずにおく。それくらいから始められます。

Lia(りあ)

今日は、蜂蜜と紅茶の香り。それが分かっただけでも、選んだ甲斐がありました


いい日だったと言えない日も、そのままで

Liaの話を穏やかな表情で聞くえむくん

Liaは小皿に残った最後のひとかけを見ました。ゆっくり食べていても、昼休みはいつもの長さで過ぎていきます。

Lia(りあ)

小さな楽しみが見つかる日ばかりではないですよね。何をしても、あまり気持ちが動かない日もあります

Mkun(えむくん)

そういう日は、見つけようと頑張らなくていいと思う。今日はしんどかったな、で終わる日があってもいい

つらい出来事があった日に、お茶がおいしかったから大丈夫、とまとめる必要はありません。困っていることは困っていることとして、助けを借りたり、負担を減らしたりする話もできます。

Lia(りあ)

一つよかったことがあっても、つらかったことまで消えなくていいんですね

Mkun(えむくん)

うん。両方あった日として覚えていていいよ

その日の全部を一つの点数にしなければ、おいしかった時間と、疲れていた時間を一緒に置いておけます。何も見つからなかった日にも、翌日また違う選び方をする余地は残っています。


今日の持ち帰り|自分の感想を、一つ受け取る

えむくんが小皿を片づけるそばで、窓へ顔を向けるLia

食べ終えた二人は、小皿とカップをまとめました。Liaは席を立つ前に、窓の外へ目を向けます。昼の光が、向かいの建物の壁を明るく照らしていました。

Lia(りあ)

今日の話をするとしたら、いいお昼休みでした、ですね

Mkun(えむくん)

どのへんが?

Lia(りあ)

好きな香りに気づけたことと、急がずに食べられたこと。それから、一緒にお茶が飲めたことです

誰かに聞いてもらうために、特別な出来事を用意しなくても。すでに過ごした時間の中へ、自分の感想を戻してみることはできます。

今日、少し好きだと感じるものがあったら、心の中で一言だけ受け取ってみてください。「この味が好き」「この場所は落ち着く」「今日はこれを選んでよかった」。記録や報告は、したくなったときで構いません。

Lia(りあ)

誰かに話す予定がなくても、私が過ごす一日ですものね。私の感想も、ちゃんと聞いてあげたいです

次回は「役に立つから」を外したとき、何をしてみたいのか。楽しむための時間に、成果まで求めてしまう気持ちを、Liaと一緒に考えます。

片づいたラウンジを後にし、午後の仕事へ戻るLiaとえむくん

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